ソロプレナーや小規模事業者がECサイトを運営するとき、ビジネス成長のため、プロモーションが大変重要であることを前回の記事でお話ししました。（ソロプレナー（小規模事業者）向けECサイト　Ⅴ）

ビジネスの種類に関わらず、様々なプロモーション手法がありますが、今回紹介するSEOは、ECサイト運営において不可欠な要素です。その主な理由は以下の３点です。

1. まず第一に、SEOを取り組むことでコンテンツの品質が向上します。SEOはGoogle検索の順位を上げる活動ですが、Googleは質の良いコンテンツを優先するためです。ですから質の良いコンテンツにしていくことで、Google検索の順位が上がると同時に、顧客の信頼性が高まり、顧客の拡大に寄与します。
2. 次に、ブランディング効果が期待できます。Googleの検索順位が上がることで顧客の認知度が向上しブランド力も向上します。
3. 最後に、SEOによってウェブサイトへのアクセスを増やすことができれば、広告費用を抑えながら効果的な集客ができるでしょう。

これまでソロプレナーや小規模事業者は、限られたリソースのため、効率的にECサイトを構築し運営していく方法について説明してきました。（ソロプレナー（小規模事業者）向けECサイト　Ⅰ）　本稿では、プロモーション手法として必須となるSEOを効率的に行う方法について説明します。

1. 効果を測定するためのKPI（Key Performance Indicaor）を決める。
   • KPIは、一般的にPV（Page View）やCV（Coversion）を設定します。具体的な業務に応じて、売上やお問い合わせ数などもKPIとなります。
   • SEO対策を実施した後、KPIの変化を確認します。つまり、ECサイトへのアクセスや望ましいアクションが増えたかどうかを検証します。これにより、SEO対策の効果を評価できます。
   • KPIの変化を通じて、SEO対策が効果的であるかどうかを判断します。もし効果が出ない場合は、SEO対策を改善します。
   • EOの効果が現れるまでには時間がかかることが一般的です。そのため、即効性を期待するのではなく、ある程度の期間を設けてKPIの変化を確認することが重要です。

2. Googleの検索評価内容を理解する。
   • Googleは検索評価のガイドラインを公開しており、これに従ってウェブサイトの評価を行っています。専門家でない場合でも、全てを理解することは難しいかもしれませんが、評価の傾向を理解することは重要です。
   • Googleの評価基準はどんどん変化していきますが、2023年の評価の傾向は以下となります。
     • 「E-E-A-T」（専門性-経験-権威性-信頼性）が優れていること。つまり、信頼性のある情報提供や専門的な知識が評価されます。
     • YMYL「Your Money or Your Life」（時事問題、法律、お金、生命、宗教）に関するものは厳格に評価する。この種の情報は正確で信頼性が高いことが求められます。
     • MFI（モバイルファーストインデックス）：モバイルでの表示が重要であり、モバイルファーストインデックスとしてモバイル表示が評価されます。
   • SEO対策はこれらの評価傾向に合わせて行う必要があります。信頼性や専門性の高い情報の提供、YMYL関連トピックの正確性の確保、モバイルフレンドリーなデザインなどが重要です。

3. ECサイト運営のルーチンワークの中にSEO対策を盛り込み、継続的に行う。
   • ECサイトの運営では、コンテンツの改善・追加、新たな商品・サービスの追加などはルーチンワークとして行います。このルーチンワークの中にSEO対策を組み込むことは、効果的です。これによって、定期的な作業としてSEO対策を実行できます。
   • 具体的には、コンテンツ作成時に、キーワードの盛り込みや内部リンクの設定など、SEO対策の要点をチェックリストとして整理します。すべてのチェックが完了したら、コンテンツを公開するようにすることで、SEO対策の漏れを防ぎます。
   • この方法によって、ECサイト運営のルーチンワークの中で効率的にSEO対策を実施できます。ルーチン的な作業に組み込むことで、継続的な努力を保ちやすくなります。

SEO対策はいろいろありますが、ここではソロプレナーや小規模事業者が効率的に行えるSEO対策を説明します。

1. コンテンツにキーワードを適切に入れ込む
   • 自身のサイトのキーワードを複数選定します。（最も顧客に伝えたい言葉を選定）
   • Google Trendsを利用して選定したキーワードが実際に検索されているかを確認し、必要に応じて修正や変更を行います。近い意味の言葉への変更などを検討します。
   • サイトの各ページやコンテンツに適切にキーワードを挿入します。特にタイトルや見出しにキーワードを含めることで、検索エンジンとユーザーの双方に情報を明確に伝えることができます。
   • 過度にキーワードを詰め込むことや、自然な文章の流れを妨げることなくキーワードを配置することが重要です。また、コンテンツの質や情報の価値も考慮してキーワード対策を行うことが大切です。
2. プラグインによるタイトルとメタディスクリプションの最適化
   • 専用のSEOプラグイン（たとえばSEOPressなど）を使って、ページのタイトルとメタディスクリプションに適切なキーワードを含め、分かりやすく情報を記載します。これにより、Googleの検索結果に表示された際、ユーザーがクリックしたくなる魅力的な情報を提供します。
   • ただし、過度な誇張や大げさな表現は逆効果になる可能性があるため、注意が必要です。正確な情報と価値を伝えることが重要です。

3. 内部リンク構造の最適化
   • ウェブサイト内でのコンテンツ間の関連性を強化するために、内部リンクを活用する方法です。内部リンクは、検索エンジンにとってウェブサイトの構造や関連性を理解するのに重要な要素です。
   • 具体的には、関連するコンテンツ間の結びつきを内部リンクで作ることを指します。これにより、ユーザーが関連コンテンツに簡単にアクセスできるだけでなく、検索エンジンもそれらの関連性を理解しやすくなります。内部リンクを適切に配置することで、サイトの階層構造や重要なページの価値を示すことができます。
   • 一つ注意すべき点は、過度な内部リンクを行うことは逆効果になる可能性があることです。リンクが自然であること、ユーザーにとって便利な情報への案内となることが重要です。
4. 高品質なコンテンツの提供
   • 検索エンジンは高品質なコンテンツを評価しますので、ユーザーのニーズに合わせて提供することが重要です。キーワードの適切な配置や関連性の高いコンテンツの作成に注力します。
   • コンテンツの内容に関して以下のポイントに重点を置きます。
     • 正確性と信頼性：コンテンツは正確で信頼性のある情報を提供することが重要です。誤った情報や誤解を招く内容は避けるべきです。
     • 独自性とオリジナリティ：コンテンツは他のサイトと重複しない独自の視点や情報を含むことが大切です。オリジナルなコンテンツは検索エンジンの評価基準でも評価されます。
     • 読みやすさとクオリティ：コンテンツは読みやすく、分かりやすい言葉で書かれるべきです。図や画像を活用して視覚的な要素を追加することも重要です。これによりユーザーのエンゲージメントが高まります。

5. モバイルフレンドリーなデザイン
   • Google検索エンジンはモバイルでの表示を優先していますので、モバイルフレンドリーな対応にする。
     • モバイルでの見栄えに問題ないコンテンツ：レイアウト、文字サイズ、ボタンサイズなど、モバイルデバイスでの閲覧に適したデザインにすることが重要です。ユーザーが簡単にナビゲーションでき、情報にアクセスしやすいようにします
     • AMP対応（レスポンスの向上）：モバイルページの読み込み速度を向上させるためのテクノロジーです。AMP対応にすることで、ページの読み込みが迅速になり、ユーザーエクスペリエンスが向上します。WordPressで構築したECサイトではプラグインを導入することで対応できます。
6. ソーシャルメディアの活用
   • SNSを活用することで、ウェブサイトの露出を増やし、バックリンクやユーザーエンゲージメントを向上させることでSEOを向上できます。
     • コンテンツのSNSシェア：ウェブサイトのコンテンツをSNS上でシェアすることは、新しいアクセスをもたらし、ウェブサイトの露出を広げる手段です。SNS上でコンテンツを共有することで、多くのユーザーに情報が届き、検索エンジンのランキング向上に寄与します。
     • いいねなどやコメントをもらう：SNS上での「いいね」やコメントを受けることは、ユーザーエンゲージメントを高める要因です。高いエンゲージメントは、検索エンジンにとってウェブサイトの品質と価値を示す指標となり、SEOに良い影響を与えます。
     • SNSシェア時にハッシュタグをつける：SNSシェア時に適切なハッシュタグを使用することで、関連するトピックでの検索が増えます。ユーザーがハッシュタグをクリックすることで、関連情報を提供することができます。

ソロプレナーや小規模事業者にとって、SEOはビジネス成長の鍵です。なぜなら、SEOをすることで、質の高いコンテンツを提供することが奨励され、それによってGoogleの検索順位が上がり、信頼性も高まるからです。それだけでなく、自社ブランドの認知度も向上し、広告費を節約しながら顧客を引き寄せる力も得られるかもしれません。

そのためには、まず効果を計る方法を持つことが大切です。どの程度成果があがっているかを測定するための基準（KPI）を設定しましょう。PVやCVなど、自分のビジネスに合った指標を使います。そして、SEO対策の後にこれらの指標がどれだけ変わったかを見て、効果を確かめるのです。もし効果が出ていない場合は、改善する方法を考えましょう。

また、Googleの評価基準を理解することも重要です。Googleはサイトの品質や信頼性を評価しています。例えば、「E-A-T」（専門性、権威性、信頼性）が高いサイトを好む傾向があります。それに合わせて、コンテンツにキーワードを適切に入れたり、内部リンクを工夫することが大切です。

最後に、モバイルフレンドリーなデザインやソーシャルメディアの活用も忘れずに。モバイルでの閲覧に適したデザインやSNSを通じて露出を増やすことで、ユーザーとのつながりを強化し、SEO効果を最大化できます。