ソロプレナーや小規模事業主にとって、大変有益なビジネスツールであるECサイトを利用するためには、低コストで構築と運営ができる必要があります。そのため、WordPressを利用するこで低コストにECサイトが構築できることを前回のブログで説明しました。（ソロプレナー向けECサイト　Ⅱ）
本書では、WordPressを利用することで低コストにECサイトが運営できることについて説明します。

最初に、一般的なECサイトの運営項目について説明します。
ECサイトの運営は、システム運用と業務運用の２つの項目に分類できます。

1. システム運用：ECサイトは、コンピュータシステムであるため、システムのメンテナンス、追加・変更、トラブル対応などの作業が必要です。これは、ECサイトだけでなく、一般的なウェブサイトでも行われる作業です。ただし、ECサイトでは顧客情報や金銭のやり取りが発生するため、厳密な管理が必要です。
2. 業務運用：ECサイトは、ビジネスツールとして機能するため、商品やサービスの追加・変更、顧客対応、マーケティングなどのビジネスに関する業務が発生します。業務運用は、ビジネスの内容に応じて異なります。業務運用は、ECサイトの有無に関係なく発生しますが、ECサイトを利用した業務運用はECサイトの操作とデータ活用となります。

以上がECサイトの運営における、２つの項目です。システム運用では、安定したシステムの運営やセキュリティ対策が重要です。一方、業務運用では、効果的な商品管理や顧客対応、マーケティング戦略の策定が求められます。

システム運用の具体的な項目は以下の通りです。

1. セキュリティ管理：ウイルス対策、不正アクセス対策、脆弱性対策、サイバー攻撃対策など、セキュリティに関する管理を行います。
2. リリース管理：使用しているソフトウェアの更新を管理し、更新後の機能の動作確認などを行います。
3. コンテンツ管理：ウェブサイトのコンテンツの改訂や更新管理を行います。
4. ユーザ管理：ユーザの追加・削除や権限の管理を行います。ECサイトでは、顧客もユーザとなりますので、ユーザ数も多く管理は複雑となります。
5. 機能改善：ウェブサイトの機能改善を継続的に行います。改善内容を記録していきます。
6. バックアップ：システムの障害に備えて定期的にバックアップを取ります。必要に応じてバックアップを復元する作業も行います。
7. トラブル対応：システムに発生するさまざまなトラブルに対応します。トラブル対応の記録を残して再発防止に努めます。
8. アクセス解析：ソフトウェアを利用してウェブサイトのアクセス状況を解析し、ページ閲覧状況や商品閲覧状況、キーワードの分析などを行います。

以上がシステム運用の具体的な項目です。これらの項目を適切に管理することで、ECサイトの安全性と可用性を確保することができます。

業務運用はビジネスにより変わりますので、ここでは、ショッピングサイトの業務運用に関する項目をわかりやすく説明します。

1. 商品・サービス管理：商品・サービスの登録や変更、在庫の更新、ユーザーレビューの管理など、サイト上での商品情報や提供するサービスの管理を行います。
2. オーダー管理（注文管理）：顧客からの注文に対応するため、入金の確認、商品の確認、配送手続き、顧客からの質問やクレームなどをステータスに分けて管理します。
3. 顧客管理：注文した顧客の情報を管理し、顧客へのメールマガジンやクーポンなどのサービスを提供します。顧客情報を活用して個別のマーケティング施策を展開することもあります。
4. 売上管理：サイトの売上データを管理し、分析に活用します。売上データをダウンロードして会計処理や申告に利用することも行います。
5. マーケティング：アクセス解析や売上の分析結果を基に、集客と販促活動を効果的に実施します。具体的な活動としては、SNSでの情報拡散、メールマガジンの配信、SEO対策、キャンペーンやクーポンの提供、広告の活用などがあります。

以上がショッピングサイトの業務運用に関連する項目です。これらの項目を適切に管理し、商品の提供と顧客の満足度向上を図ることが重要です。

WordPressを利用して構築したECサイトは、構築費用だけでなく運営も低コストで実施できます。システム運用と業務運用の項目ごとにWordPressを利用した場合の運営内容を説明します。

最初に、システム運用についてWordPressを利用した場合の運営内容を説明します。

1. セキュリティ管理
   • レンタルサーバに関するセキュリティは、レンタルサーバ会社が担当しますので作業としては発生しません。
   • ソロプレナーが行うのは、ECサイトの不正アクセス対策、脆弱性対策、スパム攻撃対策となります。
   • 不正アクセスは、プラグインで対応します。ソロプレナーはプラグインの情報を確認し、万が一不正アクセスがあった場合、ログイン情報の変更などの対応を行います。
   • スパム攻撃もプラグインで対応します。ソロプレナーは、新たなスパム攻撃に対して、プラグインに対して遮断するよう設定を追加します。
   • 脆弱性対策は、ソフトウェアの最新化を行います。つまり、常に、WordPress、テーマ、プラグインの更新作業を行います。更新はWordPressの機能を利用して実施できます。
   • 上記以外に重要なことは、利用するPCのセキュリティ対策です。利用するPCから情報が漏洩しECサイトに影響を及ぼすことがあります。常のPCのセキュリティ対策を行ってください。
2. リリース管理
   • リリース管理に関しては、脆弱性対策で常にWordPress、プラグイン、テーマは最新化していますので作業としてはほとんど発生しません。
   • WordPress、プラグイン、テーマ以外のソフトウェアを利用している場合、それらの更新を管理する必要があります。
3. コンテンツ管理
   • ソロプレナーが利用するECサイトでは常にコンテンツ変更・追加が発生します。これらのコンテンツはWordPressの機能を利用して管理できます。
   • 固定ページで作成したコンテンツでは、ページ構成情報も常に最新化して管理します。
   • 投稿で作成したコンテンツでは、カテゴリー、タグの情報も管理します。これらはWordPressの機能で管理できます。
4. ユーザ管理
   • ユーザの追加・削除や権限の管理は、WordPressの機能を利用して行います。顧客も適切な権限で自動に登録されます。
5. 機能改善
   • 機能改善や追加は、プラグインの設定変更、もしくは、プラグインの追加で行います。改善できる範囲も限定されますが、プラグインのソースを変更したり、ソフトを追加すると、ECサイト全体の品質とセキュリティが確保できないリスクが発生しますので行わないようにします。
6. バックアップ
   • レンタルサーバのサービスでバックアップが行われている場合は、そのバックアップを利用します。必ず、バックアップの頻度と期間を確認します。
   • レンタルサーバのサービスがECサイトのニーズに合わない場合は、プラグインでバックアップを実施できます。バックアップの頻度と期間をECサイトのニーズに合わせて設定し自動で行えます。
7. トラブル対応
   • トラブル対応は、WordPressの利用に関係なく、システムに発生するさまざまなトラブルに対応します。WordPressを利用したECサイトは品質とセキュリティ面で優れており、トラブルの頻度は軽減できます。
8. アクセス解析
   • プラグインを利用することでアクセス状況を解析し、ページ閲覧状況や商品閲覧状況、キーワードの分析などが行えます。

以上がWordPressで構築されたECサイトのシステム運用の内容です。WordPressとプラグインの機能を利用することで、作業は効率的に行えます。ECサイトの利用規模にもよりますが、毎日実施しなければならない定常業務は少なく、短時間で行えます。

次に、業務運用についてWordPressを利用した場合の運営内容を説明します。

1. 商品・サービス管理
   • 商品・サービス管理は、プラグインのWooCommerceで行います。登録・更新、在庫管理・ユーザーレビュー管理のすべてが行えます。
2. オーダー管理（注文管理）
   • オーダー管理も、プラグインのWooCommerceで行います。注文、入金確認、配送中などのステータス管理を行います。
3. 顧客管理
   • 顧客管理も、プラグインのWooCommerceで行います。顧客情報は自動で蓄積されますので、それらのデータをマーケティングなどに活用できます。
4. 売上管理
   • 売上管理も、プラグインのWooCommerceで行います。売上情報は自動で蓄積されますので、それらのデータをマーケティングや申告、会計処理などに活用できます。
5. マーケティング
   • アクセス解析の結果、顧客情報、売上情報などからマーケティングの計画を立案し、KPIを決めて具体的に施策を実行します。
   • SNSでの情報拡散、メルマガ配信、SEO対策はプラグインで効率的に行えます。
   • クーポンは、WooCommerceで行います。

これらの業務運用は、WooCommerceや他のプラグインを活用することで効率的に行えます。ECサイトの売上の量によってかかる時間や作業の複雑さは異なりますが、プラグインの使用により自動化や効率化が図られるため、ソロプレナーでも運用がスムーズに行える点が特長です。

1. ソロプレナーや小規模事業主が行うECサイトの運営項目について説明しました。
   • システム運用では、安定したシステムの運営やセキュリティ対策が重要です。
   • 業務運用では、効果的な商品管理や顧客対応、マーケティング戦略の策定が求められます。
2. WordPressを利用して構築したECサイトは、構築費用だけでなく運営も低コストで実施できることを説明しました。
   • システム運用では、WordPressとプラグインの機能を利用することで、作業は効率的に行えます。ECサイトの利用規模にもよりますが、毎日実施しなければならない定常業務は少なく、短時間で行えます。
   • 業務運用は、WooCommerceや他のプラグインを活用することで効率的に行えます。ECサイトの売上の量によってかかる時間や作業の複雑さは異なりますが、プラグインの使用により自動化や効率化が図られるため、ソロプレナーでも運用がスムーズに行える点が特長です。

次回からは、ソロプレナーがWordPressを利用してECサイトを構築・運営する際のノウハウについて説明していきます。