【ECサイト(ショッピングサイト)とは】
はじめに
- 個人の活動にもDX(デジタルトランスフォーメーション)がどんどん浸透してきます。特にスマホが一般化した今日では、スマホでいろいろなことができるようになりました。画像やテキストなどの情報のやりとりはもちろん、レストランの予約、商品の購入などスマホで行うことが当たり前になりつつあります。
- 購入や予約をスマホで行うには、サービスを提供する側に、EC(E-Commerce、イーコマース)サイトが必要となります。従来、ECサイトの実現には大きな投資が必要でしたが、最近は、ほとんど投資をしなくてもECサイトの実現が可能となりました。
- 『WordPressでECサイト(ショッピングサイト)を作ろう。』では、ITの知識がない小規模事業者向けに、ECサイトの実現方法について解説します。第一弾の本稿では、ECサイトの概略について解説します。
ECサイトの定義
WikipediaでECサイトを調べると以下の通り説明されています。
ECサイト(イーシーサイト)とは、自社の商品(広義では他社の商品)やサービスを、インターネット上に置いた独自運営のウェブサイトで販売するサイトのことである。ECとは英語: electronic commerce(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略。
Wikipedia
- 商品やサービス(宿泊、セミナー、レンタルなど)を販売するウェブサイトはすべてECサイトです。(Amazon、メルカリ、じゃらんネット、アクスル、EX予約・・・)
- B(Business)toB(Business)、B(Business)toC(Customer)、C(Customer)toC(Customer)など事業者と顧客の対象はいろいろです。
- Amazon、楽天など数兆円以上売り上げるサイトから、年間1万円未満のサイトまで国内では400万以上稼働しています。
- 狭義にはショッピングサイト、つまり、商品を販売するサイトをECサイトと定義しています。本稿もECサイトをショッピングサイトとして解説します。
ECサイトと実店舗
ECサイト | 実店舗 | |
---|---|---|
店舗 | 不要(商品の保管場所は必要) | 必要 |
営業時間 | 365日 24時間 | 一般的に10:00-19:00 |
販売地域 | 全国(越であれば全世界も可能) | 店舗の近隣 |
商品の仕入れ | 必要 | ⇚ |
商品の陳列・補充 | サイトに登録。 補充は不要 | 店舗に陳列・随時補充 |
顧客の商品選び | サイトの映像で確認・すべての商品を確認可能 | 実物を確認・陳列商品のみ |
顧客の商品ピックアップ | カート機能 | 物理的なカートに入れる |
顧客の支払い | オンライン決済 | レジで決済 |
商品の入手 | 宅配便で配送 | 顧客が持ち帰る |
- 商品を販売するという行為(機能)を考えるとECサイトも実店舗も同じ行為ができる仕組みです。しかし、その内容は大きく異なります。
- 最も違う点は、ECサイトは物理的な店舗が不要なことです。ECサイトはネット上で仮想的に店舗があります。そのため、営業時間、販売地域の制限がありません。半面、顧客が直接商品を触れないため、商品選びも画像で行い、商品の入手も宅配サービスが必要となります。
- ECサイトは実店舗との販売と大きく違うため、商品管理、集客、商品配送など新たな商品販売のノウハウが必要となります。
ECサイトのメリット/デメリット/課題
メリット
- 販売地域が広がる(地域⇒全国、日本⇒世界)
- 販売地域が広がるので、売り上げアップにつながります。
- 24時間365日営業が可能
- 営業時間が延びるので、売り上げアップにつながります。
- 店舗が不要
- 店舗にかかる費用が不要になります。 その反面、ECサイトの構築・運用の費用が必要となります。
デメリット
- 顧客が商品を手に取って確認できない。
- 顧客に商品を正しく認識してもらうため、画像、説明文などを準備する必要があります。
- 商品の入手に時間がかかる。
- 宅配便を利用する必要があり、通常だと1-7日程度の期間がかかる。
課題
ECサイトのプロセスイメージ
ECサイトはECの機能、つまり商品を販売する機能を持ったホームページです。ではそのホームページはどのように利用するのでしょうか? 左図にECサイトの利用のイメージを示します。
- ECサイトは商品販売をする事業者が利用する機能と商品を購入する顧客が利用する機能に分かれます。
- 事業者は、商品をECサイトに登録することで販売できます。また、顧客からの発注を受注、商品発送、納品というステータスで管理します。また顧客の販売情報を管理します。
- 顧客は登録した商品を見ながら、欲しい商品をピックアップします。ピックアップした商品を発注します。また、商品の納入プロセスを照会します。
ECサイトの機能
機能 | 内容 |
---|---|
商品管理 | 商品の登録、検索、在庫管理など |
カート(買い物カゴ) | 商品のピックアップ |
発注 | 決済、配送条件指定、発注 |
注文管理 | 注文のステータス管理(発注、受注、配送、納品など) |
マイページ | 注文履歴、注文照会など |
顧客管理 | 実物を確認・陳列商品のみ |
その他 | 売上管理、販促(キャンペーン、クーポン)、集客(SEO、SNS連携など)、マーケティング分析、配送管理など |
- ECサイトを実現するための基本機能を上表に示します。 ほとんどの方は、ECサイトを利用した経験があると思いますが、その際に利用するのが、カート(買い物カゴ)と発注の機能です。
- 事業者側には、商品を登録したり在庫管理をする商品管理機能と注文をステータス管理する注文管理機能が必要となります。
- さらに、マイページや顧客管理機能があればさらに便利になります。
- ECサイトの機能は、売上管理機能、製品の特性と販売方法による機能、集客機能など、さらにいろいろな機能があります。最初からすべての機能を準備するのは難しいので、基本機能でスタートして、順次機能追加する進め方が現実的となります。
ECサイトの再定義
Wikipediaの定義
ECサイト(イーシーサイト)とは、自社の商品(広義では他社の商品)やサービスを、インターネット上に置いた独自運営のウェブサイトで販売するサイトのことである。ECとは英語: electronic commerce(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略。
Wikipedia
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Sanageyama.comの定義
ECサイト(ショッピングサイト)とは、商品管理、カート、発注、注文管理、マイページ、顧客管理などの機能を備えたホームページである。
ECサイトを利用するとビジネスの場所や時間の制約がなくなり、売り上げを伸ばせる。
低コストで構築できて、うまく運用ができれば、大きなメリットがある。
Sanageyama.com
つまり、ECサイトは、小規模事業者にとって低コストで構築できることとうまく運用できることが乗り越えねばならない課題となります。以下にECサイトの構築と運用について解説します。
ECサイトの構築方法
方法 | 種類 | 内容 |
---|---|---|
ASP (アプリケーションサービスプロバイダ) | STORES、BASE、Shopify、他 | ・低コストで簡単にEC機能が利用可能。 ・個性的なサイトを作成するのは困難で集客は自力でやる必 要がある。 ・個人ビジネス向き(種類によってはコストをかけて独自の ECサイトの構築も可能) |
ECモール | 楽天、Amazon、Yahooショッピング、auPAYマーケット、他 | ・高コストであるが、集客力のあるECサイトが構築可能 ・集客の必要はないが、価格競争が激しいので、競争力のあ る事業者向き |
パッケージソフト | ECbeing、ebisumart、EC-Orange、他 | ・ソフトとサイト構築のコストが高いが、独自のECサイトが 構築可能。 ・IT部門を持つ、大規模事業者向け |
オープンソース | EC-CUBE、WordPress、他 | ・ソフト費用は無償。改修せずに、そのままの機能を利用す れば、低コストでも構築可能。 ・WordPressを利用すれば、ITの知識もなく、設定と操作方 法を覚えれば、ECサイトが構築できる。 ・個人ビジネスから大規模事業者まで利用 |
- ECサイトを構築するのは、一般的に4つの方法があります。 構築方法によって、コスト、実現できるECサイトもかなり違ってきますので、自分の身の丈に合った方法を選ぶことが大変重要です。
- 小規模事業者であれば、ASPを利用した方法か、もしくはオープンソースを利用した方法となります。ASPは提供元が、しっかり支援してくれますので実現する可能性は高いのですが、機能追加や独自性を求めると、費用が発生します。
- オープンソースでは、ソフトは無償ですが、かつては、サイト作成にプロの力が必要でした。しかし現在は、WordPressの登場により、ITの知識がない人でもECサイトを作成することが可能になってきました。機能的な制限はないので、本格的なECサイトを作成できます。
ECサイトの運用に必要な知識
方法 | 内容 |
---|---|
ECサイトの管理 | ・商品管理(仕入れ、商品登録、在庫管理など) ・オーダー(注文)管理(注文のステータスを発注、受注、発送、納品、返品、 クレームなどのステータスで管理する。) ・顧客管理(顧客の関係を継続する) ・売上管理 |
集客 | ・SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど) ・SEO(Google検索エンジンに検索されやすいようにする。) ・広告(Google マイビジネス、アフィリエイトなど) |
法律 | ・薬機法、景品表示法、個人情報保護法、特定商取法 ・食品関連 |
決済 | ・クレジットカード、デビットカード、ネットバンキング、キャリア決済、ID決済、 電子マネー、コンビニ払い ・決済代行会社、決済セキュリティ(トークン方式、リンク方式) |
物流 | ・宅配サービス、物流委託など |
その他 | •越境EC |
- ECサイト運用は、実店舗の運用とは大きく違いますので、新たな作業を習得する必要があります。これは、ECサイトの構築方法により多少の違いはありますが、基本的にはやらねばならない作業です。
- ECサイトの運用は、実店舗の運用でも同じですが、最初は簡単な作業から始め、だんだん高度な作業へと進んでいきます。
- 開始時点で必要最低限の運用を習得すると同時に、マニュアル化するようにしましょう。
まとめ
- ECサイト(ショッピングサイト)とは、商品管理、カート、発注、注文管理、マイページ、顧客管理などの機能を備えたホームページである。
- ECサイトを利用するとビジネスの場所や時間の制約がなくなり、売り上げを伸ばせます。
- ECサイトは大きなメリットがある反面、小規模事業者には、ECサイトを低コストで実現しなければならないという課題があります。
- オープンソースであるWordPressを利用することで、独自のECサイトを低コストで実現できます。次回からWordPressを利用したECサイトの構築手順や運用について解説していきます。
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